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じ
ふりがな文庫
“
懊
(
じ
)” の例文
凡
(
およ
)
そ相手が
左様
(
さよう
)
に手の込んだ
懊
(
じ
)
らし方をすると云うのは、彼を嫌っているのではなくて、彼に興味を抱いている證拠ではないのか。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と森松は
懊
(
じ
)
れこんでいくらいっても動きません。其の筈で森松などから見ると三十段も
上手
(
うわて
)
の悪党でござりますから、長手の
火鉢
(
ひばち
)
の
角
(
すみ
)
の所へ坐ったら
挺
(
てこ
)
でも動きません。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しまいに
懊
(
じ
)
れてくると、爪をのばして、ところ嫌わず老女を掻きむしるのだった。
金狼
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
懊
(
じ
)
れに
懊
(
じ
)
れて待つた其人の、遂に來なかつた失望が、冷かに智惠子の心を嘲つた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
その恋しさに身を
懊
(
じ
)
らしながら、自分の運命を他人に
委
(
ゆだ
)
ねて、時計の針を
視詰
(
みつ
)
めているということは、考えて見てもたまらないことです。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
懊
(
じ
)
れに
懊
(
じ
)
れて待つた其人の、遂に来なかつた失望が、冷かに智恵子の心を嘲つた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
彼女はさう云ふグル/\廻りの状態に置かれて
懊
(
じ
)
れてゐたのだが、皿の上の鰺が減つて行くのを数へながらいつものいちやつきを眺めてゐると
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼女はさう云ふグル/\廻りの状態に置かれて
懊
(
じ
)
れてゐたのだが、皿の上の鰺が減つて行くのを数へながらいつものいちやつきを眺めてゐると
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼女はそう云うグルグル廻りの状態に置かれて
懊
(
じ
)
れていたのだが、皿の上の鰺が減って行くのを数えながらいつものいちゃつきを
眺
(
なが
)
めていると
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ローゼマリーは京都と云う地名を知らないらしく、いくら悦子が「京都」と教えても「東京」と云うので、悦子は
懊
(
じ
)
れて
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
寝られない寝られないと云って
頻
(
しき
)
りに
懊
(
じ
)
れ、お母ちゃん悦子明日帰るよ、杉浦博士に
診
(
み
)
てもうええ、こないしてたら神経衰弱ひどうなるばかりやわ
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ウッカリ手出しをしようものなら必ずその壁に突き当って、いくら
懊
(
じ
)
れても彼女の肌には触れる訳に行かないのです。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
これは一つには、運が悪いだけではなく、
何故
(
なにゆえ
)
か相手の人が故意に平中に
遇
(
あ
)
うことを避けているらしいからなので、そのために平中は一層
懊
(
じ
)
れていた。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
まろは時々、母者人の俤を想い出そうと努めて見るが、もうちっとで想い出せそうになりながら、うすい
帳
(
とばり
)
に隔てられて居るようで、
懊
(
じ
)
れったい心地がする。
二人の稚児
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
已
(
や
)
むに已まれぬ行きがゝりで
侍従
(
じじゅう
)
の
君
(
きみ
)
を追い廻すような羽目になり、へんに
懊
(
じ
)
らされているものだから、一途に心がその方へばかり向いているのであるけれども
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
前の女房の眼を
掠
(
かす
)
めて福子と逢引してゐた時代の、楽しいやうな、
懊
(
じ
)
れつたいやうな、変にわく/\した、落ち着かない気分、———まああれぐらゐなものなのだが
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
前の女房の眼を
掠
(
かす
)
めて福子と逢引してゐた時代の、楽しいやうな、
懊
(
じ
)
れつたいやうな、変にわく/\した、落ち着かない気分、———まああれぐらゐなものなのだが
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
前の女房の眼を
掠
(
かす
)
めて福子と
逢引
(
あいびき
)
していた時代の、楽しいような、
懊
(
じ
)
れったいような、変にわくわくした、落ち着かない気分、———まああれぐらいなものなのだが
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
小便がしたいのであろうと察し、
溲瓶
(
しびん
)
を当ててみるが排尿しない。しきりに
懊
(
じ
)
れているように見える。「おしっこですか」と云うと頷くので、また当ててみるが出ない。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
手紙なんかじゃ
懊
(
じ
)
れッたいから電報を打つか? そいつもちょっと
大袈裟
(
おおげさ
)
なようだが、多分電話があるだろうから、電話をかけて来て貰うか? いやいや、来て貰うには及ばないんだ。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
導尿のたびごとに病人が
懊
(
じ
)
れること、ちょっとしたことが神経に触って興奮する様子が見えること、口と手足が思うように利かないために一層イライラするらしいこと、等々について相談する。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
懊
(
じ
)
れたり怒ったりすればするほどますます滑稽になるのである。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
懊
漢検1級
部首:⼼
16画
“懊”を含む語句
懊悩
懊惱
懊々
懊悔
懊悩呻吟
懊悩地獄
懊悩戦慄
懊悩煩悶
懊悩転輾
懊悶
懊憹
煩悶懊悩
煩悶懊惱