)” の例文
れったいな。」新吉は優しい舌鼓したうちをして、火箸を引ったくるように取ると、自分でフウフウ言いながら、火を起し始めた。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
犬にも非ず、猫にも非ず、なんぢに似たる者よと思ひけれど、言争いひあらそはんは愚なりと勘弁して、彼はわづかに不快の色をせしのみ。満枝は益す独りれて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それらは残らず笹村の病室の窓からすかられるのであったが、そのたんびに夫婦はわが子の病勢を悲観したり、日数のかかるのをれったがったりした。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
あんな奴は打抛出おつぽりだしていて、這箇こつち掻巻かいまき引被ひつかぶつて一心に考へてゐたんですけれど、もうれたくて耐らなくなつて来たから、不如いつそかまはず飛出して了はうかと、余程よつぽどさう念つたものの
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「とうとうこじらしてしまった。」笹村は痩せ細った手を眺めながら、れったそうに呟いた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
『オイ/\、素通すどほり不可いけないよ。』とお大は一段聲を張あげてれつたさうに
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「ちょッ、しようがねえな。」と新吉はれったそうに、顔中を曇らせる。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
疲れた重い體をヅシンと投出したと思ふと、れつたさうに泣いて居た。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)