惨刻ざんこく)” の例文
けれども、僕は如何どうしても悪運のであったのです。ほとん何人なんびとも想像することの出来ない陥穽おとしあなが僕の前に出来て居て、悪運の鬼は惨刻ざんこくにも僕を突き落しました。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
父様おとつさんトこの母様おつかさんとがいても身震みぶるひがするやうな、そうママいふひどいめに、くるしい、いたい、くるしい、つらい、惨刻ざんこくなめにつて、さうしてやう/\おわかりになつたのを、すつかりわたしおしへてくだすつたので。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
今日より遥かに惨刻ざんこくなもので、私は廿三にじゅうさん才の誕生日の日、重罪犯人として捕縛され、他の三十七人の罪人と一しょにグロリア・スコット号にのせられてオーストラリアに送られることになったのだ。
かくごときをも源因結果の理法といえばそれまでです。けれども、かゝる理法の下に知らず/\このおかれた僕から言えば、此天地間にかゝる惨刻ざんこくなる理法すら行なわるゝを恨みます。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)