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惡行
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あくぎやう
知ずやと仰せ有ければ
流石不敵の段右衞門も
只茫然として
暫時物をも言ず
俯向て居たりしが何思ひけんぬつくと顏を
上今迄包み隱せし我が
惡行成程穀屋平兵衞を殺害し金子百兩を
申立けるこそ
笑しけれ扨さしも
種々樣々に
縛れし
公事成りしが今日の一度にて取調べ
濟に相成口書の一
段までに及びけり
嗚呼善惡應報の
著るしきは
索へる
繩の如しと
先哲の
言葉宜なる
哉村井長庵は三州藤川在岩井村に
生立て
幼年の頃より
心底惡く成長するに
隨ひ
惡行増長して友達の勘次郎と云者を