悪口雑言あっこうぞうごん)” の例文
旧字:惡口雜言
あげくのはてが、永井荷風ながいかふう先生、宇野浩二先生、瀧井孝作たきいこうさく先生方を始め悪口雑言あっこうぞうごん無礼妄言ぶれいもうげんの数々、性来のオッチョコチョイで仕方がない。
インチキ文学ボクメツ雑談 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
ちゅうちゅうきながら、またほかへ行って止まる。二人の猟師はち上がる。兄貴のフェリックスは、それに悪口雑言あっこうぞうごんを浴びせかける。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
だが、この芸妓という奴も生意気だ、代官の権威にも屈しないなら屈しないでいいが、仮りにも土地の権威の役人を、こんなふうに悪口雑言あっこうぞうごんするのは怪しからぬ。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
よくも悪口雑言あっこうぞうごんを吐いて祭りの日に自分をはずかしめたと言って、一人と一人で勝負をするから、その覚悟をしろと言いながら、刀のつかに手をかけた。少年も負けてはいない。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
、妖怪変化か魔性のものとはききずてならぬ一言! 里! 主人なり主人の母の悪口雑言あっこうぞうごんをみだりにいたせば、いかなる酬いがくるか、そちにもそれはわかっておるじゃろうな?
亡霊怪猫屋敷 (新字新仮名) / 橘外男(著)
だが、——いまは、どこまでめくらていをみせて蛾次郎がじろうにゆだんをさせ、そのくびをひンねじってやろうと、心のおくにためきって、かれの悪口雑言あっこうぞうごんを、いうがままにこらえている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
せめて金だけ返してやってくれと申入れましたる所、私に対して聞くに忍びぬ悪口雑言あっこうぞうごん、其の上門弟ども一同寄ってたかって手当り次第に打擲いたし、今でも此の通りあとがございますが
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ことを論ずるにあたり、悪口雑言あっこうぞうごんをはさむのは、きて、自己の主張の論拠のなきを自白すると同然である、つまり負けた証拠にほかならぬ。思想と議論はあくまでも冷静たるを要す。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
創刊号の同人の座談会で、私は例の鼻ッ柱で威勢よく先輩諸先生の作品に悪口雑言あっこうぞうごんをあびせつづけたものであったが、その中で一句、私の言葉に矢田津世子が同感した言葉があった。
二十七歳 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
先生を騙りなどと悪口雑言あっこうぞうごんをしては捨置かれぬ、出ろと襟髪えりがみを取って腕をつかまえて門前へ引摺り出し、打擲して、前に申し上げた通り割下水のみぞさかさまに突込つきこんで、踏んだり蹴たり
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
水色染の帷子へぽたり/\と血が流れるを見て文治郎はっとひたえを押え、てのひらを見ると真赤にのりみましたから、此奴こやつ不埓至極な奴、文治郎の面部へ疵を付けるのみならず、重々じゅう/\悪口雑言あっこうぞうごん
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)