よろ)” の例文
それがあたしの、いちごのみはじめだったのだ。食べはしなかったが、その赤さは充分に私をよろこばせ、最後までそのお皿をとりかえさせなかった。
こんな事を云い出したので、みんなすっかり、っくりしてよろこんだ。病人がしきりに事のおこりを聞きたがるままに、母がそのあらましを話してやった。
田舎医師の子 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
その往昔むかし娘を思っていたおもいの深さを初めて知って、ああこんなにまで思い込んでいたものがよくあの時に無分別をもしなかったことだとよろこんでみたり、また、これほどに思い込んでいたものでも
太郎坊 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この人はまるで阿呆あほうのようだ。そのくせわたしの着物にはいろいろと世話をやく。あらいがらのものをわたしが着さえすればよろんで居る。ときには少女が着でもするような派手な着物を買ってさえ来る。
愛よ愛 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
夫婦仲ふうふなかいたって円満えんまんで、双方そうほう親達おやたちたいそうよろこびました。
そのほかに、好事こうずな手だんすだとか、古い竹屋町裂たけやまちぎれでつくった茶ぶくさ入れだとかみな大名道具であった。私の父はよくいった。他人の泣きをよろこぶ不浄なぜにで買ったのだと。——
よろこんだ。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)