急峻きゅうしゅん)” の例文
赤松谷は爆発火口原であるが、その急峻きゅうしゅんな傾斜面には赤松が生え、もみが生え、しいかしなどの雑木が、鮮麗に頂の緑を見せて鬱蒼うっそうとしている。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
どこも七、八百尺の切りぎし急峻きゅうしゅんをなしており、上の台地は、さらに三段階となって、根小屋、高やぐら、一から四までの土塁曲輪どるいぐるわを形成している。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太古の大地変の痕跡こんせきを示して、山骨を露出し、急峻きゅうしゅんな姿をしているのであるが、大垣おおがきから見れば、それほど突兀とっこつたる姿をしていないだろうという事は
伊吹山の句について (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
この三分の一行程ぐらいのところで、いよいよ問題の細道……ぶなとちの大木のしげり合った、草むらへ出るのであるが、これらの山道は、いずれもさほど急峻きゅうしゅんなものではない。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
道は雲仙の山脚さんきゃくが海に落ちこんでいる急峻きゅうしゅんな部分に通じているので、なり険しい絶壁の上を、屡々しばしば通らなければならぬが、そのために風致は歩々ほほ展開して行く。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)
急峻きゅうしゅんで、大樹たいじゅ岩層がんそうが、天工てんこうをきわめているから、岳中がくちゅう自然しぜん瀑布ばくふ渓流けいりゅうがおおい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
妙見は普賢より四十米低いに過ぎないが、この内側面に面した方は急峻きゅうしゅんで、普賢がその前にきたり、かつ密林におおわれているため、ただ西南の展望を有するに過ぎぬ。
雲仙岳 (新字新仮名) / 菊池幽芳(著)