御辛抱ごしんぼう)” の例文
御骨も折れようが御辛抱ごしんぼうなさい、急いで立派な寺なぞ建てないで、と云ってわかれを告げる。戸外そとに紫の蝦夷菊えぞぎくが咲いて居た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「いや、よく御辛抱ごしんぼうが続きましたよ。こんなに長くなるんでしたら、一度国の方へお帰りを願って、また出て来ていただいてもとは思いましたがね。」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それもわずか、朝までの御辛抱ごしんぼうですよ。ねえ、おひい様、ここで待っていておくんなさい。もうお膳立ては出来てるんだから、犬山がちるのは、夜明け前さ。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
心理学の講筵こうえんでもないのにむずかしい事を申上げるのもいかがと存じますが、必要の個所だけをごく簡易に述べて再び本題に戻るつもりでありますから、しばらく御辛抱ごしんぼうを願います。
現代日本の開化 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なにおっしゃいます。狭苦せまくるしゅうはござりますが、御辛抱ごしんぼうしやはりまして。……」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
はやまつての御考おかんがへは御前まへさまのやうにもいましばしの御辛抱ごしんぼうそのうちにはなにともして屹度きつとよろこばせ申べし八重やへが一しんあはれともおぼしめしてそのやうなかなしいことおかせあそばすなとてちから
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「こんなところでございますが、今晩はここで御辛抱ごしんぼうなすって下さいまし」
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「行軍中、あまり水を飲むのは、よくありません。すこし御辛抱ごしんぼうなさいませ」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御辛抱ごしんぼう御辛抱ごしんぼういちゃァこと仕損しそんじやす」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
御辛抱ごしんぼう御辛抱ごしんぼう。——」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)