御大将おんたいしょう)” の例文
また奥州おうしゅうより出て来たあの田舎武士いなかぶしが、御大将おんたいしょうの眼前で晴れの武術を示すなど分に過ぎたる果報者かほうものだとうらやんだものもあったろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「ははあさようか、よろしゅうござる。一旦船中へ取って返し、御大将おんたいしょうに申し上げ、改めて再度参ることに致す」
「あれは敵の御大将おんたいしょうの脚を切ったことを思い出して、世の中の無情を感じているんだよ」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
どげんしてでも、十七人の候補者を、全員当選させるごと、御大将おんたいしょうみずから采配を振るらしか。警察は自分の部下と思うちょるし、買収、饗応、脅喝、戸別訪問、自由自在たい。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
そのうえ若君が、御大将おんたいしょうとおなりあそばして、富士ふじおろしに武田菱たけだびしの旗あげをなされたら、たちまち諸国からこぞってお味方にせさんじてくることは火をみるよりあきらかです
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とにかく御大将おんたいしょうともあれば、威厳いげんをそこなわないことには、秘術を心得て居る。
「あたじけないね、鷺組はさ! 御大将おんたいしょうのお絹さんからして、こんなヘマなことをやるんだからねえ」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
御大将おんたいしょうとして長年修業を積んでいるから、人を待たせることがっとも苦にならない。
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
姉川あねがわだって、長篠ながしのだって、こっちの大勝ちはあたりめえなことさ。おれたちの御大将おんたいしょうはべつもんだが、はばかりながらおれたちのったものには、槍一本、やじりひとつにも気が入っているんだ。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それはお手柄でござったな。御大将おんたいしょうにはお喜びでござろう。早々お通りなさるよう」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
御大将おんたいしょう御大将御大将
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
われらが御大将おんたいしょう多門兵衛たもんひょうえ様は、智徳兼備わが朝での孔明、このお方をいただいている以上、戦いに負けよう筈はない。その上に我らは金枝玉葉の、大塔宮様をさえ奉戴いたしておる。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)