御参詣ごさんけい)” の例文
旧字:御參詣
『十五日は、両使、増上寺へ御参詣ごさんけいの日であるぞ。諸事、準備したくはよろしいか。明十三日、高家の下検分があろう。手ぬかりするなよ』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おや、これは八幡さま——わたしは、八幡さまが守護神まもりがみ——ねえお前は、この、お鳥居前で待っていておくれ——御参詣ごさんけいをして来ますから——」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「これは貴いお方の御隠居様が、御風気を冒しての御参詣ごさんけいで入らせられます。扉は半分以上引くことはなりませんぞ」
そのおれいまいりに、平生へいぜい信心しんじんする長谷はせ観音かんのんさまへ、うちじゅうのこらずれて、にぎやかに御参詣ごさんけいをなさいました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
……これでございますから、何の木曾の山猿やまざるなんか。しかし、念のために土地の女の風俗を見ようと、山王様御参詣ごさんけいは、その下心だったかとも存じられます。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここは、左大臣藤原道世ふじわらのみちよ様のおやしきでございます。実は、昨日さくじつ道世様が、鞍馬くらまのお寺へ御参詣ごさんけいの途中、お車を引く牛が、あばれ出して、あなたにそんな大傷おおきずを負わせたのでした。
三人兄弟 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
先達て奈良、芳野よしのへ御旅行の折、御母上様の御墓所に御参詣ごさんけいの事と拝察いたされ候。ふた昔ばかり前か、維新の際長岡藩士の窮状を『しがらみ』にてか拝見仕候。今は夢のやうに、ぼうつと覚え居候。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
「お客様はなんでございますかい、お地蔵様へ御参詣ごさんけいで」
「これは、旦那様だんなさまお世辞のい、土地をめられまして何より嬉しゅうござります。で何でござりまするか、一刻も早く御参詣ごさんけいを遊ばそう思召おぼしめしで、ここらまで乗切っていらっしゃいました?」
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二十八日、愛宕御参詣ごさんけい
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ようござらっせえました、御参詣ごさんけいでがすかな。」
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)