御前おんまへ)” の例文
「毘沙門さまの御前おんまへ黒雲くろくもさがつた(モウ)」 (衆人おほぜい)「なんだとてさがつた(モウ)」(山男)「よねがふるとてさがつた(モウ)」とさゝらをすりならす。
いのりしたりして居たんですよ、私もう——こはくて怖くて神様の御前おんまへへ出られないんですもの——
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
されば狂女のかどに在る間は、大御明尊おおみあかしのみこと御前おんまへ打頻うちしき祝詞のりとを唱ふるにあらざればしのあたはず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
五位の入道 苦しさうにまなこり上げた儘、西、西と申された。——や、とかうするうちに、もう日暮ぢや。途中に暇を費してゐては、阿弥陀仏の御前おんまへおそれ多い。では御免ごめんかうむらうか。
往生絵巻 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
わが心、頌歌ほめうたを負ひて重く、御前おんまへにむかふも苦しげなり。
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
「毘沙門さまの御前おんまへ黒雲くろくもさがつた(モウ)」 (衆人おほぜい)「なんだとてさがつた(モウ)」(山男)「よねがふるとてさがつた(モウ)」とさゝらをすりならす。
「ハヽヽヽ、君の様に悲観ばかりするものぢや無いサ、天下の富を集めて剛造はいの腹をこやすと思へばこそしやくさはるが、之を梅子と云ふ女神めがみ御前おんまへに献げるともや、何も怒るに足らんぢや無いか」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
かくてわれ、相撲すまふの身を屈する如く、御前おんまへにあり
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)