ぴょう)” の例文
「むむ、これまで来ると、一ぴょうの敵軍につつまれ、俺は敵の一将を討ち取って、お車の側へすぐ引っ返してきたが、時すでに遅しで」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その日の黄昏たそがれ、多くの傷兵が、惨として夕月の野に横たわっている官軍の陣営へ、何処からきたか、一ぴょうの軍馬が馳けきたった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると不意に西方の山からが鳴った。愕然がくぜんと、闇をすかして望み見ると、星あかりの下を、一ぴょうの軍馬が風の如く馳けてきた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぴょうの軍馬が、それと共に、山の陰から奔進してくる。見れば玄徳の義弟おとうと関羽である。たちまち、八十二斤の青龍刀は周瑜の身に迫ってきた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
僥倖ぎょうこうにも、曹仁そうじん曹洪そうこうの二大将は、この大難から辛くもまぬかれて、博陵はくりょう渡口わたしまで逃げてきたが、たちまち一ぴょうの軍馬が道を遮断して呼ばわった。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
袁紹は勢いに乗じて急追撃に移ったが、五里余りも来たかと思うと、突如、山峡やまかいの間から、一ぴょうの軍馬が打って出て
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて、その列が、陣門に近づくと、たちまち、見張りのやぐらからひょうひょうと鼓角こかくが鳴り、たちまち、鼓に答えて、一ぴょうの軍馬が前をさえぎった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、笑ったが、時も時、後方から一ぴょうの軍馬が、地を捲いてこれへせてきた。さてはとばかり張飛はいよいよ疑って、本格的に身構えをあらためた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると全く予測していなかった方面から、一ぴょうの軍馬が旋風となって側面へかかって来た。そして一人の大将が
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると月明の野面のづらを黒々と一ぴょうの軍馬が殺奔さっぽんしてくる。白き戦袍ひたたれ白銀しろがねよろいは、趙雲にも覚えのある大将である。彼はわれをわすれて、こなたから手を振った。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ときに一ぴょうの軍馬が炬火たいまつを振って登ってきた。玄徳の命をうけて、関興を探しにきた張苞の一軍だった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わめいているところへ、後ろにある高順の陣をめがけて、突然、一ぴょうの軍馬が北方から猛襲して来た。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると、関上から一ぴょうの兵が、一人の大将を先にして、漢中軍の先鋒へ、決戦を挑んできた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蜀軍あり、と叫ぶものがあったので、司馬懿が駒を止めてみると、まさしく一ぴょうの軍馬が、蜀江しょっこうの旗と、丞相旗じょうしょうきを振りかかげ、また、一輛の四輪車を真っ先に押して馳け向ってくる。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると彼方から、一ぴょうの軍馬が、燃えさかる草の火を蹴って進んできた。見れば、全軍みなくれないの旗をさし、真っ先に立った一名の英雄も、かぶとよろい、剣装、馬鞍、すべて火よりも赤い姿をしていた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宮人たちは、逃げまどい、車の陰にひそみ、唯うろたえるのみだったが——時しもあれ一ぴょうの軍馬がまた、忽然こつぜんと、大地から湧きだしたように、彼方の疎林や丘の陰から、を打鳴らして殺到した。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぴょうの軍馬と、颯爽たる大将が、彼方からきて呼びかけた。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「西涼の馬岱ばたいこれにあり」と、一ぴょうの軍馬が衝いてくる。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)