広庭ひろにわ)” の例文
旧字:廣庭
兵営のいかめしい鉄門をくぐって、掃除の行きとどいた広庭ひろにわを歩いてゆくと、やがて四角い営舎が幾つもつづいているところへ出た。
情状酌量 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
いや、それよりも、私たちの立っている広庭ひろにわのこの輝きは、微風は、あ、この涼しさはどうだ。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
バサッとへいをきって、直垂ひたたれそでをたくしあげ、四方へつるをならすしきをおこなってから紫白しはくふたいろこまかい紙片しへんをつかんで、だんの上から試合しあい広庭ひろにわゆきのようにまきちらす。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夏ははちすの花が早抹あさあけに深いもやの中にさいて、藪の蜘蛛くもの巣にも花にも朝露がキラキラと光って空がはれていった。藪には土橋をかけて、冠木門かぶきもんの大百姓の広庭ひろにわと、奥深く大きな茅屋根かややねが見えていた。
広庭ひろにわ牡丹ぼたんてん一方いっぽう
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)