幼顏をさながほ)” の例文
新字:幼顔
それがどうして、七歳なゝつ八歳やつつの幼いものゝ口から出る言葉かと、母は呆れてしまつて、文吾の幼顏をさながほに浮ぶ不敵の面魂つらだましひを見詰めてゐた。
石川五右衛門の生立 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
奪取うばひとり江戸へ名乘出んとは思しが師匠ししやう感應院かんおうゐんの口よりもれんも計りがたければ師匠は我十三歳の時に毒殺どくさつしたり尚も幼顏をさながほなくさん爲に九州へ下り熊本にて年月を經り大望を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一寸見は十七八とも見える幼顏をさながほで、舞臺へ白粉をつけて出るのが、何よりの樂しみと言つた、不思議な好みに引摺ひきずられて、ほんの食扶持くひぶちだけで此の小屋にやとはれて居ります。
寶澤は盜賊たうぞく殺害せつがいされしていこしらへ事十分調とゝのひぬと身は伊勢參宮いせまゐり姿なりやつし一先九州へ下り何所いづかたにても足を止め幼顏をさながほうしなひて後に名乘なのり出んものと心は早くも定めたりまづ大坂へいで夫より便船びんせん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)