年忌ねんき)” の例文
火事などは眼の前にその大きな不幸を見た者が、たいていは秋葉愛宕あきばあたごを信心し始め、または村限りの火事の年忌ねんきを設けたりしている。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「なあ、君たち、こまったことができたんだけど、あさっての日曜日、お母さん用事ができたの。八津の年忌ねんき、一週間のばそうよ」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
それにゃ国の田地でんじや何かも整理しなけりゃならないから、今度はまあ親父おやじ年忌ねんきを兼ねて、その面倒も見に行く心算つもりなんだ。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
かりに尊氏の亡父貞氏の法事なら、その年忌ねんきにも命日にも当っていない不審はどう解くのか。
油紙のついえ二両ばかり、農具の価家具の料二両ばかり、薪炭等壱両余、夫婦衣服子女の料ともまた一両二分余、春を迎え歳を送りたま祭り年忌ねんき仏事の入用二両余、日雇賃一両二分余
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「あたし、失礼するわ。年忌ねんきのおときなんか、まっぴらよ」
あなたも私も (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
八津の年忌ねんきはのばすのよ。そして、あさっては本村へピクニックとしようや。お母さんの会は水月楼すいげつろうよ。ほら、香川マスノって生徒のやってる料理屋りょうりや
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
または年祝としいわいといって老人の長命を祝う日、いっぽうにはまた人がくなって野辺送のべおくりをする後先あとさきから、しだいに月日つきひがたって月忌げっき年忌ねんきの祭りをする日まで
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「何、その方は慣れているから平気だが、とかく田舎の年忌ねんきとか何とか云うやつは——」
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
加賀の金沢などではこの遊びをオジャコトといっている。御座は年忌ねんきでなくとも僧をしょうじ、説教を聴聞ちょうもんする人寄ひとよせであるが、やはり法事のように食物が出たものと思われる。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
年忌ねんきとはいっても、時節じせつがら客をまねいたり、坊さんをよんだりするのではない。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
実枝みい年忌ねんきの手紙出しといたか」
(新字新仮名) / 壺井栄(著)