帯地おびじ)” の例文
旧字:帶地
暮れんとする春の色の、嬋媛せんえんとして、しばらくは冥邈めいばくの戸口をまぼろしにいろどる中に、眼もむるほどの帯地おびじ金襴きんらんか。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「京都にも三輪君のような人がいて、『安全地帯』を『帯地おびじまったやすし』と読んだそうだが、此処で田鶴子にそんな読み方をされるとことだからね」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
欣々女史も鏡花会にはいって、仲間入りの記念しるしにと、帯地おびじとおなじにらせた裂地きれじでネクタイを造られた贈りものがあったのを、幹事の一人が嬉しがって
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
あくるとしとったほうのおんなは、デパートの、かざられた衣裳いしょうまえっていました。そこには、三万円まんえんふだのついた帯地おびじ、また二万円まんえんふだのさがったが、かかっていました。
かざぐるま (新字新仮名) / 小川未明(著)
「博多」といえば誰も知っているほど特長のある織物で、幸に今も続いて織られます。「博多帯はかたおび」の名があるほど帯地おびじおもに作ります。絹を材料とする密な堅い織で、がらにも特色があります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)