差向さしむき)” の例文
たゞさるべし其答が胡亂うろんにては成ず即ち紀州名草郡平野村にて誕生たんじやうと申立る時は差向さしむき紀州を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
雷が既に頭のうへに来て鳴るので、為方しかたがない、差向さしむきむかうに見える記念塔のやうなところまで駈出した。合著あひぎの服をだいぶらしてそこまで辿たどりつくと、土地の人で一ぱいである。
イーサル川 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
差向さしむき何処どこと云って落着く先に困ろうとお察し申すが、まゝ又其のうちに御帰参のかなう時節もあろうから、余りきな/\思っては宜しくない、心を大きく持って父のあだを報い、本意ほんいを遂げれば
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
頼み來る有徳うとくの町人百姓又は醫師など迄思ひ/\に五百兩千兩と持參する者引もきらず其金高日ならずして八萬五千兩に及びければ一同はまづこれにて差向さしむきまかなひ方には不自由無し此上あんじらるゝは江戸表えどおもて御沙汰ごさたばかり今や/\と相待あひまちける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
師匠ししやう天道和尚のひろひし上弟子でしいたし置れしがまつたくは當將軍家の御部屋住へやずみの内の御落胤らくいんなり此度御還俗遊げんぞくあそばし我々御ともにて江戸おもてへ御のぼり遊ばすなり御親子しんし對顏たいがんの上は御三家同樣の御大名にならせらるゝは必定ひつぢやうなり夫に付ては差向さしむき金子御入用なるが只今御用金とし金百兩差上る者にはすなはち三百石の御高おんたか
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)