崑崙こんろん)” の例文
机の上に書きさしの紙がべっとり、せっかく六道能化ろくどうのうげまで来た校合の上に、硯の海がくつがえって、黒漆の崑崙こんろんおどり出します。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
伊藤仁斎や山井崑崙こんろんなどの、「シナにおいてはかつて考えられなかったような日本特有の論語に対する見解」である。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
これによると、最後の氷河期の氷河が崑崙こんろん北麓ほくろくに押し出して来て今のコータンの近くに堆石たいせきの帯を作っている。
ロプ・ノールその他 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
この蛇頭に大地を戴く。『山海経』に〈崑崙こんろん山西北に山あり、周囲三万里、巨蛇これを繞り三周するを得、蛇ために長九万里、蛇この上におり、滄海そうかいに飲食す〉。
こんよりと底澄みのしたきめの細かいその果汁はさながら崑崙こんろんの玉を溶かしたかのようにみえる。
胆石 (新字新仮名) / 中勘助(著)
パミール高原に発する崑崙こんろん山系の起伏する地脈が支那西部に入っては岷山みんざん山脈となり、それらの諸嶺をめぐり流れる水は、岷江みんこう金沱江きんだこう涪江ふこう嘉陵江かりょうこうなどにわかれては
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平生愛乗致しておりまするあの御承知の白馬『崑崙こんろん号』と共に参加致したいとの希望……
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
崑崙こんろん人の船が三河みかわの海岸に漂着した時に、その船の中には棉の種子があったということが、歴史の上には見えているけれども、その時の棉はまだ広く全国には普及しなかったようで
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
また支那でも印度から木綿の入ったのは宋の末だというし、我国では延暦えんりゃく十八年に崑崙こんろん人(印度人)が三河に漂着したが、其舟に木綿の種があったのを栽培したのが初だといわれている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
このとき崑崙こんろん山上の大火はまだんでいず、西の空のはずれは真赤であった。
不周山 (新字新仮名) / 魯迅(著)
吾が国三条の人崑崙こんろん山人、北越奇談を出板せしが(六巻絵入かな本文化八年板)一辞半言いちじはんげんも雪の事をしるさず。今文運ぶんうんさかんにして新板わくがごとくなれども日本第一の大雪なる越後の雪をしるしたるしよなし。
もう一度このへんの雪線が少しばかり低下して崑崙こんろんの氷河が発達すると、このへんの砂漠さばくがいつか肥沃ひよくの地に変わってやがて世界文化の集合地になるかもしれない。
ロプ・ノールその他 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
胡国は西域の汎称に用いられ、崑崙こんろん国はコーチンチャイナ(仏領インドシナ)のある国を意味し、瞻波国はコーチンチャイナの一部であった。大体に南シナ人である。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
吾が国三条の人崑崙こんろん山人、北越奇談を出板せしが(六巻絵入かな本文化八年板)一辞半言いちじはんげんも雪の事をしるさず。今文運ぶんうんさかんにして新板わくがごとくなれども日本第一の大雪なる越後の雪をしるしたるしよなし。