“屹立(つゝた)” の例文
私(わたくし)は此時(このとき)まで殆(ほと)んど喪心(そうしん)の有樣(ありさま)で、甲板(かんぱん)の一端(いつたん)に屹立(つゝた)つた儘(まゝ)、此(この)慘憺(さんたん)たる光景(ありさま)に眼(まなこ)を注(そゝ)いで居(を)つたが、ハツと心付(こゝろつ)いたよ。
身長(みのたけ)七尺(しやく)に近(ちか)く、灰色(はいいろ)の毛(け)は針(はり)の如(ごと)く逆立(さかだ)ち、鋭(するど)き爪(つめ)を現(あら)はして、スツと屹立(つゝた)つた有樣(ありさま)は、幾百十年(いくひやくじふねん)の星霜(せいさう)を此(この)深林(しんりん)に棲暮(すみくら)したものやら分(わか)らぬ。
『なに、なに、大丈夫(だいじようぶ)! 大丈夫(だいじようぶ)!。』と私(わたくし)は眞赤(まつか)になつて仁王(にわう)の如(ごと)く屹立(つゝた)つた。