小歌こうた)” の例文
食後ナイエル夫人は亡夫の肖像を掛けた一室へ僕等三人をいてカンキナしゆの小さなさかづきを勧め、自身はピヤノにいて二三の小歌こうたい声で歌つた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
おのが手作りの弁天様によだれ流して余念なくれ込み、こと三味線しゃみせんのあじな小歌こうたききもせねど、夢のうちには緊那羅神きんならじんの声を耳にするまでの熱心、あわれ毘首竭摩びしゅかつま魂魄こんぱくも乗り移らでやあるべき。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
言換えれば実否をただすことの急になったのは、望を達したいことの急になったので、それで今晩こそはと決意する所があるように、又た春泉へ出懸けて行ったが、生憎その日小歌こうたは遠出だと云って
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
幸ひきやつを殺し彼者かれが勝し五百兩の金を奪ひ取んと心がけさきへ廻つてわしの宮の杉林すぎばやしに身をかくし金兵衞の來るを今やおそしと待懸たり金兵衞はかゝるべしとはゆめにも知ず慈恩寺村じおんじむらにて打勝し五百兩を懷中くわいちう小歌こうた
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
小歌こうたをあげて烟の立行くままに
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
心いきの小歌こうたもくひとめた。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)