寺男てらおとこ)” の例文
「あの寺男てらおとこているなら、ほかのものをわりにさせればいいのだ。このむらには、あそんでいるものが、幾人いくにんもあるはずだ。」
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「嘘をつけ、お主はあれを寺男てらおとこに持って行ってやったのじゃ。あいつは文字をどうやらぬたくりおるからな、それであいつのところへ持って行ったのじゃろ。」
直様すぐさま参り申候処、御役人御出おいで有之其許方そのもとかた慶蔵けいぞうと申候寺男てらおとこ召使ひ候事有之候哉との御尋おたずねなり。
榎物語 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
するのは、わけても夜中にでるのは、なによりあぶないことじゃ。どういうわけで、出ていくのか。わしは寺男てらおとこにさんざんさがさせたのじゃ。いったいどこへいきなさるのだね。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
緑ばんだ金色の夕映ゆうばえの名残を背景にして黒い人間の姿が影絵のように立っているのを彼は見た。妙な絹帽シルクハットをかぶった男で肩に大きなすきを担いでいる。その取合せが妙にかの寺男てらおとこを思わせた。
十兵衛は伊豆国いずのくに韮山にらやまの某寺に寺男てらおとこをしているので、妙了は韮山へ往った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
おれおいは、びっこで、仕事しごとかないが、寺男てらおとこぐらいはつとまるから、おぼうさまにはなして、使つかってもらうべえ。」
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、法師はおこったように寺男てらおとこせいして
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
それは、いまから、ずっとむかしのことでありました。このおてらに、としとったおぼうさまと寺男てらおとこがいました。寺男てらおとこには、十三、四になったむすめがおりました。
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)