寝惚眼ねぼけまなこ)” の例文
旧字:寢惚眼
またそのほか提灯ちょうちんなどもわが枕辺まくらべに照されていて、ねむりに就いた時とおおいに異なっていたのが寝惚眼ねぼけまなこに映ったからの感じであった事が解った。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
トロリとした酔眼だか寝惚眼ねぼけまなこだか知らないのをみはって、両の肩を怒らせ、掌を膝に置きながら、首をのべて慢心和尚の面をまともに見つめ
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
で、一旦内へ引返ひっかえして、応急の薬剤と繃帯ほうたいとを用意して、足早に表へ出ようとする時、七兵衛父爺じじい寝惚眼ねぼけまなここすりながら裏口を遅々のそのそ出て来た。出逢頭であいがしら喫驚びっくりして
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
コツリと柱で頭をッつけ、アイタアイタヽヽヽと寝惚眼ねぼけまなこをこすりながら戸をひらいて表へ立出たちい
早速さっそく雨戸を開けて、女房の名を呼ぶと、はいといいながら寝惚眼ねぼけまなこをして、たしかに自分の女房が出て来たので、ようやく安心して先刻さっきあったはなしをすると、その女房も思当おもいあたるような顔をしながら
月夜峠 (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
やが寝惚眼ねぼけまなこを擦り/\名刺を眺めると、急に驚いたやうに、むつくりね起きた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)