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ねぼけまなこ
で、一旦内へ
引返して、応急の薬剤と
繃帯とを用意して、足早に表へ出ようとする時、七兵衛
父爺が
寝惚眼を
擦りながら裏口を
遅々出て来た。
出逢頭に
喫驚して
コツリと柱で頭を
打ッつけ、アイタアイタヽヽヽと
寝惚眼をこすりながら戸を
開いて表へ
立出で
ば助けて
遣がよし
誰樣も客人方に盜まれし品はなきやといふに
隣り座敷の客は
寢惚眼にてキヨロ/\しながら拙者は大事の者が見えぬなり
早々詮議成れて下されよと云ゆゑ大事な者とは何なりやと
問ひけるに客人
些申兼たるが
御寶が
紛失致し然も
昨日買たてなりと云ば皆々成程
犢鼻褌でござるか夫は