寒山拾得かんざんじっとく)” の例文
青絵というのは、染付そめつけのことで、呉須土ごすどいた南画なんがめいた構図で、よく寒山拾得かんざんじっとくのような人物や山水さんすいなどが、達筆に密画でなく描かれていた。
九谷焼 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
寒山拾得かんざんじっとくの類の、私の姿が、商店の飾窓の硝子ガラスに写る。私の着物は、真赤に見えた。米寿べいじゅの祝いに赤い胴着を着せられた老翁の姿を思い出した。
服装に就いて (新字新仮名) / 太宰治(著)
古襖がたてつけの悪いままで、その絵の寒山拾得かんざんじっとくが、私たちをゆびさして囁き合っているていで、おまけに、手から抜出ぬけだした同然に箒が一本立掛たてかけてあります。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この者の姿を見ると、頭はがっそうで、まさに河童に類しているが、身に黒の法衣のかけらと覚しいものをまとうているところ、寒山拾得かんざんじっとくの出来損いと見られないこともない。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
馬琴の眼は、この淡彩の寒山拾得かんざんじっとくに落ちると、次第にやさしい潤いを帯びて輝き出した。
戯作三昧 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それから第二の点は支那の寒山拾得かんざんじっとくの話のごとく、残夢は無々と語り福仙と相指あいゆびざし、残月は小松原宗雪と同宿し、清悦は小野某を伴ない、また白石翁が天鑑和尚をせがれと呼んだこと
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
お清書の直しに朱墨しゅずみの赤丸が先生の手でつけられてゆくのを見ていると、屏風の絵の寒山拾得かんざんじっとくとおんなじような息吹いぶきをしているように、子供心にも老人の無為の楽境を意識せずに感じていた。
人が悠々として観る態度を取り得るのは、人間の争いに驚かない不死身な強さを持つからである。著者はシナの乞食の図太さの内にさえそれに類したものを認めている。寒山拾得かんざんじっとくはその象徴である。
『青丘雑記』を読む (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
○赤石君因陀羅いんだら寒山拾得かんざんじっとくの事。(宗達そうたつ交換こうかん
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
寒山拾得かんざんじっとくあぶのうございますよ」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
寒山拾得かんざんじっとくって形ですな?」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)