やつ)” の例文
掏摸すりだななんじは? 虫も殺さぬような顔をして、武士の懐中物をかすめるとは大胆なやつじゃ」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「うん。やつが来たら咳払せきばれえして下せえよ。いいけえ、頼んだぜ。」
うがす、何そりゃ好いたやつのためにゃあ世の中を打棄うっちゃるのも、時と場合にゃ男の意地でさ、品に寄っちゃあ城を一百一束いっそくひとからげにしててのひらに握るのと違わねえんでございましょうが、何ですぜ、野郎の方で
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「婆さんが腰をぬかして——なんともうす腑甲斐ふがいないやつか。」
「ても不運なやつ、死ぬがよい!」
イオーヌィチ (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「しょうのねえやつだ」
舞馬 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
「困ったやつだ」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「おれを斬るとは面白いやつ、ははははは——。」
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「ても不運なやつ、死ぬがよい!」
イオーヌィチ (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)