夫婦いつしよ)” の例文
深川ふかがは木場きば材木ざいもくしげつたら、夫婦いつしよになつてるツておつしやつたのね。うしたつて出來できさうもないことが出來できたのは、わたしねんとゞいたんですよ。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
私はもう何の因果で此様な人と夫婦いつしよになツたんだらうと思いながら、種々義理の絡まツてゐることもあツたんですし、嫌でもつとめるだけのことは勤めなければならない。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
『嘘でねえでヤ。俺ア眞實ほんとに、うなアせえ承知してえれば、夫婦いつしよになりてえど思つてるのに。』
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『嘘でねえでヤ。俺ア真実ほんとに、うなアせえ承知してえれば、夫婦いつしよになりてえど思つてるのに。』
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
長患ひの末、母は翌年あくるとしになつて遂に死んだ。程なくして兄は或る芸妓げいしや落籍ひかして夫婦いつしよになつた。智恵子は其賤き女を姉と呼ばねばならなかつた。遂に兄の意にさからつて洗礼を受けた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
其時、嫁のお喜勢さん(と母が呼んでゐた。)は別段泣きもしなかつたと、私の母は妙に恨みを持つてゐたものである。事情はよく知らないが、源作叔父は其儘、あによめのお喜勢さんと夫婦いつしよになつた。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)