夜泣よな)” の例文
尊公そんこうから若君へお願いしてくれ。だれにしたって、ここで一番日ごろの鬱憤うっぷんらして、うで夜泣よなきをなぐさめてやりたいのは、人情にんじょうじゃないか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そう申しては口幅っとうございますが、先ずこう申す五郎助七三郎が筆頭で、それから夜泣よなきの半次はんじさかずり金蔵きんぞうけむり与兵衛よへえ節穴ふしあな長四郎ちょうしろう。それだけでございます
怪異暗闇祭 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
しなぬまで蒲團ふとんなかにおつぎは與吉よきちいてくるまるのであつた。與吉よきち夜泣よなきをするとき卯平うへい枕元まくらもと燐寸マツチをすつて煙草たばこうつしてはえさしをランプへけて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
彼は、二人が堕胎を計った第九工場というのに、(夜泣よな鉄骨てっこつ)という怪談をえつけた。その実、彼がコッソリ、夜中になると、工場へ忍びこみ、自分で、クレーンをキィキィ云わせたのだ。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)