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ゆうかぜ
三
人は、さびしい
畑の
方へ
歩いていきました。とうもろこしの
葉が、
夕風に
動いて、さっきから
鳴いているうまおいの
声が、
夜のふけるにつれてだんだん
冴えていました。
庭にも、もう暮色が流れて、葉末をゆるがせて渡る
夕風は、一日の汗を一度にかわかす。
姉は、
思案に
沈んだ
顔つきをして、
着物のすそを
夕風になぶらせながら
弟のそばへ、はだしのまま
近寄ってきました。そして、
目は
見えぬながら
微笑んで、
姉を
迎えた、
弟に
向かって