売国奴ばいこくど)” の例文
少しも心配するに及ぶまい、日露戦争に反対するのだから、すなは売国奴ばいこくどと言ふべきものでは無いか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
この姿をしてうっかり市中を歩いて、例の攘夷党の志士にでも見つかろうものならば、売国奴ばいこくどのように罵られて、その長い刀の血祭りに会うことは眼に見えるようなものであります。
売国奴ばいこくど!」中佐のかたわらにいた将校が、イヤというほど中佐の横面を張りたおした。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
蘇武は義人ぎじん、自分は売国奴ばいこくどと、それほどハッキリ考えはしないけれども
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
して外国の書をよん欧羅巴ヨーロッパの制度文物をれと論ずるような者は、どうも彼輩あいつ不埒ふらちな奴じゃ、畢竟ひっきょう彼奴等あいつら虚言うそついて世の中を瞞着まんちゃくする売国奴ばいこくどだと云うような評判がソロ/\おこなわれて来て
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「卑劣は一大痛棒だね。注意人物の売国奴ばいこくどじゃないかハハハハ」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
こんなことは売国奴ばいこくど所為しょいとして誰もいやしむ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
魯国が小邾と事ある場合、その城下に死ねとあらば、事のいかんを問わず欣んで応じよう。しかし射という男は国を売った不臣だ。もしその保証に立つとなれば、自ら売国奴ばいこくどを是認することになる。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)