塩漬しおづけ)” の例文
旧字:鹽漬
私達は草鞋掛わらじがけのまま炉辺で足を休めた。細君が辣韮らっきょう塩漬しおづけにしたのと、茶を出して勧めてくれた。かわいた私達の口には小屋で飲んだ茶がウマかった。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それは山海さんかいの珍味づくしだった。車えびの天ぷら。真珠貝の吸物、牡牛おうしの舌の塩漬しおづけ羊肉ひつじにくのあぶり焼、茶ののおひたし、松茸まつたけ松葉焼まつばやき……いや、もうよそう。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
書物しょもつそばにはいつもウォッカのびんいて、塩漬しおづけ胡瓜きゅうりや、林檎りんごが、デスクの羅紗らしゃきれうえいてある。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
つめた挽割飯ひきわりめしと、大根だいこの味噌汁と、塩辛しおからく煮た車輪麩くるまぶと、何だか正体の分らぬ山草の塩漬しおづけこうものときりで、膳こそはきずだらけにせよ黒塗くろぬり宗和膳そうわぜんとかいう奴で、御客あしらいではあるが
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
わざわざ不時の客にそなえて幾週間もしまってあった渦巻型の肉饅頭を添えた玉菜汁シチイだとか、豌豆えんどうをあしらった脳味噌だとか、キャベツを添えた腸詰だとか、去勢鶏ブリャルカ焙肉あぶりにくだとか、胡瓜きゅうり塩漬しおづけだとか
冬瓜とうがん塩漬しおづけ 秋 第二百十一 野菜の煮物
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)