地侍じざむらい)” の例文
この輩を名づけて国侍・地侍じざむらいまたは郷士ごうしと称えている。地侍の鎮撫ちんぶ策は、新たなる国持衆くにもちしゅうの最も取扱いに困難したる問題である。
名字の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
これは、この国だけの、地侍じざむらいの風儀ではない。公卿くげもそう。室町むろまち公方くぼうの武家たちもそう。総じてその頃の酒席の風だった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
松下嘉兵衛まつしたかへえは、遠州えんしゅうの産で、根からの地侍じざむらいであったが、今川家からほうを受けているので、駿河旗本するがはたもとの一人であり、ろく三千貫、頭陀山ずだやまとりでを預かっている。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すなわち勘定の便利を本位にした点は村を補助貨幣のごとく取り扱ったわけである。地侍じざむらい鎮撫ちんぶするためにも、なるべく多くの名主・庄屋を設ける必要があった。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
佐々成政さっさなりまさが、北国すじの地侍じざむらいへたのんで、白山はくさんの黒百合を取りよせて、北の政所へ献上した。
日本名婦伝:太閤夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いやしかし、もし矢矧川より先へは出るなとの制約さえなければ、濃尾の地侍じざむらい、半島のお味方も、呼応こおうして来ましたろうし、また作戦も自由に、よい勝負ができたろうにと、それだけを
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もらっているらしい地侍じざむらいが多うございますからな。……そしてどうなさいました
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
館の下僕しもべから、さとに住む地侍じざむらいといった類の者まで、およそ日頃から常陸源氏の一族に、反感をもっているか、あるいは、被圧迫的な立場におかれている者など、お互いに、呼びかけあって
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところでだ。たった今、村の白旗しらはたの池で百姓と隣村の地侍じざむらいとが、喧嘩を
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さっきから人待ち顔に、安福寺の下にたたずんでいた地侍じざむらい風の男がある。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)