国芳くによし)” の例文
僕は少時せうじ国芳くによし浮世絵うきよゑにこの話の書いたのを見てゐたから、「吉原八景よしはらはつけい」だの「黒髪」だのよりも「石の枕」に興味を感じてゐた。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
勝川春亭しゅんていの「品川沖之鯨高輪たかなわより見る之図」や、歌川国芳くによしの「七浦捕鯨之図」「宮本武蔵巨鯨退治之図」などが挿入そうにゅうされてあった。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
国芳くによしらの画家に至つてはそれらの画題はたちまち平凡となり最初春章の門人春英しゅんえいの作中に見たる幽霊の図の如きも文政ぶんせい天保てんぽうの画家にあつては実に残虐を
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
容斎ようさい嵩谷すうこく雪旦せったん文晁ぶんちょう国芳くによしあたりまでがくつわを並べているというわけだから、その間に挟まって、まさるとも劣るところなき名乗りを揚げようというのは骨だ
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
玄冶店げんやだなにいた国芳くによしが、豊国とよくにと合作で、大黒と恵比寿えびす角力すもうをとっているところを書いてくれたが、六歳むっつ七歳ななつだったので、何時いつの間にかなくなってしまった。画会なぞに、広重ひろしげも来たのを覚えている。
これにぐものは国芳くによし御厩川岸おんまやがし雨中の景なるべし。
夕立 (新字新仮名) / 永井荷風(著)