なう)” の例文
(右手を挙げてさしまねく。)あ、やうやう聞こえたさうな。やれ、うれしや。なう、喃、菊枝どのいのう。早う、早う、菊枝どのいのう。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
「お定ツ子はおとなしくてなう。」と言はれる度、今も昔も顏を染めては、「おら知らねえす。」と人の後に隱れる。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
かへで 貧の手業てわざに姉妹が、年ごろ擣ちなれた紙砧を、兎かくに飽きた、忌になつたと、むかしに變るお前がこの頃の素振は、どうしたことでござるかなう
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
お父さまは敏ちやんの寢顏を打戍うちまもり乍ら仰有おつしやいます「圭一郎に瓜二つぢやなう」とか「燒野の雉子きゞす、夜の鶴——圭一郎は子供の可愛いといふことを知らんのぢやらうか」
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
ってのとほり、むすめとしなうもうおひ/\適齡としごろぢゃ。
それや青光りもするぢやらう、銀紙ぢやからなう
星とピエロ (新字旧仮名) / 中原中也(著)
詩人 世帯のためだなう
世帯休業 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
(門扉の隙より目を離し、唄ふがごとき調子にて)さて、偽りとは知りながら悟られぬのがそれ何やらの道。なう、白萩小女郎、昔の人は秀句しうくくな。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
君の心もうちなごみ(小唄の節になりて)花の降る夕暮は、思へど思はぬ振りをして、なう、思ひやせに痩せ候ひしが……(再び我に返りたるが如く)教観けうくわん二門が何の真諦しんたい、三観十乗が何の悟道さとり
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)