“呪咀(のろい)” の例文
夜昼となくその高殿から、嫉妬(ねたみ)と猜疑(うたがい)と呪咀(のろい)とをもって、妖精のように桂子が、自分たちを看視していることだろう。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私の黒焦死体の呪咀(のろい)がどんなに真剣な気持のものですか……私たちの怨(うら)みの内容が、どんなに深刻な、残虐(ざんぎゃく)無道な校長先生のなさり方に対する反抗であるかを
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
白の頭上には何時となく呪咀(のろい)の雲がかゝった。黒が死んで、意志の弱い白はまた例の性悪(しょうわる)の天狗犬と交る様になった。天狗犬に嗾(そそのか)されて、色々の悪戯も覚えた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
でも私(わたくし)としては、全然(ぜんぜん)そう言(い)った厭(いや)らしい祈願(きがん)にはかかり合(あ)わないことにして居(お)ります。呪咀(のろい)が利(き)く神(かみ)は、あれは又(また)別(べつ)で、正(ただ)しいものではないのでございます。
彼女の足もとには、怖ろしい力で捻(ね)じ縒(よ)った二通の手紙が、呪咀(のろい)の人形のように踏みつけてあった。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今こそ、呪咀(のろい)の声 憤怒の声 物凄く渦を巻き 木立の彼方へ響いて行く
飢えたる百姓達 (新字新仮名) / 今野大力(著)
国長の腸が——悪血が——いやいや怨恨(うらみ)と呪咀(のろい)の血が、頼春の両眼へしたたかはいり、その眼を盲目にしたらしい。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私の家の血統(ちすじ)を引いた男の児にだけ祟(たた)るという、その恐ろしい、不思議な絵巻物の力を、科学の力で打ち破って、その呪咀(のろい)がこの児にかからないようにして下さい。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
投げつける血べとのような呪咀(のろい)!
飢えたる百姓達 (新字新仮名) / 今野大力(著)
不思議な熱病の蔓延(まんえん)は恐ろしいほどに速かった。中津川の町の町人のほとんど全部がこれにかかり泣き声喚き声呪咀(のろい)の声が城中へまでも聞こえて来た。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
腰から御幣(ごへい)を引っこぬくと、額の辺りへ捧げ持ち、呪咀(のろい)の言葉を喚きながら、鬼火の姥は走り出した。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)