名吟めいぎん)” の例文
という名吟めいぎんを残しましたが、伊豆をとりかこむ海の風光は、相模の海にしろ駿河の海にしろ、常にえもいわれぬ美しさを呈しております。
深夜の電話 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「ひどく見縊みくびるね、じゃ、まあ、さすまい、で、なんだね、名吟めいぎんができたかい、どうも昔から下戸げこに名吟がないと云うぜ」
草藪の中 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
という歌が、佐渡さどの島にはあって有名である。山本修之助氏の『佐渡の民謡』という書の中には、このほかにもなおいろいろと嫁の心情を歌った名吟めいぎんが出ている。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
今日君のお名吟めいぎんは恐れ入りましたな、なんとか申したな、えゝと「煙草には燧火すりびのむまし梅のなか」とは感服々々、僕などのような横着者おうちゃくものは出る句も矢張り横着で「梅ほめてまぎらかしけり門違かどちがい」
これいささかもたくむ所なくして然もその意を尽したる名吟めいぎんならずや。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
賣歩行うりあるきとき晋子しんし其角きかくが贈りし述懷じゆつくわい名吟めいぎんなる事は世の人の知る所にしてに定めなきは人の身の上ぞかし偖も越後浪人新藤市之丞が心がらとは云ひながら今は紙屑かみくづ屋長八と名乘なのり裏店うらだな住居ずまひとなりしかど追々商賣に身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)