いに)” の例文
その代りいにしえの善い時代に見たような魂を引上げるような種類の要素が無い。興福寺の法相六祖像にしてもそうである。
本邦肖像彫刻技法の推移 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
突くばかりすぐに峠にて馬車の上にすくみたる足なればチト息ははづみたり此峠にいにしへは棧橋かけはしありしとか思ふに今にして此嶮岨なれば棧橋かけはしあながち一ヶ所に限らず所々しよ/\に在しならん芭蕉の
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
大切に養育やういくなし殊に半四郎は至て正直律儀なる者故近所隣村の者ども半四郎々々とて何事によらたのみ使ひて贔屓ひいきせしが人にはなくて七癖なゝくせと言如く半四郎事ごく酒好さけずきにていにしへの酒呑童子しゆてんどうじも三舍を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
直し今は行人安樂なりといふ左れど尚ほ屈曲の險坂けんはん幾段なるや知らずいにしへの險阻おもふべきなり下り終らんとする所即ち西もちや村なりこゝは人家十餘軒ありて宿屋の前に女どもいでてお休みな/\と客を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)