叢雲むらくも)” の例文
面白き事こそ起りたれと折しもかかる叢雲むらくもに月の光りのうすれたるを幸い、足音を忍びて近づきて見れば男ならで女なり。
良夜 (新字新仮名) / 饗庭篁村(著)
オウィディウスの『メタモルフォセス』(三・一八三以下)に、衣を脱ぎしディアナの姿を敍して「對へる日の光に染みし叢雲むらくもの色、または紅の朝の色」
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
円かなる望月ながら、生蒼なまあをく隈する月の飛び雲の叢雲むらくもあひ、ふと洩れて時をり急に明るかと思ふ時なり。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「見事。——鞘は平糸まき。赤銅しゃくどうつか叢雲むらくもの彫りがある。が、これは刀、一本ではしかたがあるまい」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
見れば空一面に、すっかり叢雲むらくもがたちこめて、埃っぽい駅路は大粒の雨滴に叩かれていた。
怖々こわ/″\庭を見る途端に、叢雲むらくもれて月があり/\と照り渡り、す月影で見ると、生垣を割って出ましたのは、頭髪かみは乱れて肩に掛り、頭蓋あたま打裂ぶっさけて面部これからこれへ血だらけになり
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
もと叢雲むらくもの劒という。三種の神器の一。
夜の始めに澄渡るそらを裂き、または日の落つるころ葉月はづき叢雲むらくもを裂く光といふとも、そのはやさ 三七—三九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
まどかなる望月ながら生蒼なまあをくまする月の飛び雲の叢雲むらくもあひ、ふと洩れて時をり急に明るかと思ふ時なり。