千本せんぼん)” の例文
「十六日。晴。午刻より土方出立。手尾てを迄伴六亀児かめじ送来。夫より分袂ぶんべい飾西しきさい觜崎はしざき千本せんぼん三日月みかづき也。觜崎より人車に而暮過三日月駅石川吉兵衛へ著。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
すらりと大地だいちなゝめながるゝかとすれば、千本せんぼんうで帆柱ほばしらに、のきうへへまつすぐに舞上まひあがる。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
が、そのほかは、北は千本せんぼん、南の鳥羽とば街道のさかいを尽くして、蚊やりの煙のにおいのする、夜色やしょくの底に埋もれながら、河原かわらよもぎの葉を動かす、微風もまるで知らないように、沈々としてふけている。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ながいのだの、一番いちばん橋手前はしてまへのをかしらにして、さかりどき毎日まいにち五六十ぽん出来できるので、また彼処此処あつちこつちに五六人づゝも一団ひとかたまりになつてるのは、千本せんぼんしめぢツて、くさ/\にへてる、それはちひさいのだ。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)