千字文せんじもん)” の例文
「読めなくってよ、いろはにほへとから源平藤橘げんぺいとうきつ、それから三字経さんじきょう千字文せんじもん、四書五経の素読そどくまで俺らは習っているんだ」
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
幼にして聡敏そうびん比なく、四歳にして千字文せんじもんを読み、七歳にして出家せんことを求めたが、十二歳の時宇多上皇に見出されて、上皇の法の弟子となった。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ソレカラ何処どこかで法螺ほらの貝を借りて来て、かおを隠して二人ふたりで出掛けて、杉山が貝を吹く、お経の文句は、私が少年の時に暗誦あんしょうして蒙求もうぎゅうの表題と千字文せんじもん請持うけも
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そのとき和邇わには、十かん論語ろんごという本と、千字文せんじもんという一巻の本とを持って来て献上しました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
という句などは、私たちもまだ記憶するが、こちらの歴史に引比ひきくらべてみると、王仁わにの『千字文せんじもん』などよりはこれはまたずっと前のことで、明かに詩人の空想であったことがすぐにわかる。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
天地玄黄てんちげんこうとかいう千字文せんじもんを盗んだような名前のドクトルを連れて来た。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)