勘太かんた)” の例文
品川の停車場ステーションでお若が怪しい様子に付けこんで目を放さない気味のわるい男は、下谷坂本あたりを彷徨うろついております勘太かんたという奴。
てまえが、湊川みなとがわのご建碑を奉行しておりますあいだ、終始、懸命に働いてくれた人夫のひとりに、勘太かんたという者がおりました。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くるまうえから、ちたものは、勘太かんたじいさんの会社かいしゃるときまでにつけていた、半纒はんてん股引ももひきと帽子ぼうしでありました。
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「二しゅか。可哀そうだな。一はずんでおくんなせえ。なあおい勘太かんた
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
すると、どもりの勘太かんたじいさんが
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
若者わかものは、このおいぼれたじいさんが、勘太かんたじいさんでなかったのをしあわせとおもいましたが、またべつないたましいかんじがして、そこをりました。
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
道具片づけもすまして、ため勘太かんたが、その仕事場から帰って来るのを見かけて、旅人たちの一名が
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いいや、勘太かんたじいさんに相違そういない。おれは、よほど、自動車じどうしゃめて、こえをかけようとおもったが、いそいでいたものだから、つい残念ざんねんなことをしてしまった。」
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
介三郎の男泣きがせないばかりでなく、かれのまわりには石権いしごん親方をはじめ、ため勘太かんた、そのほかの職人がみな、いつでも生命いのちをなげうちそうな血相をそろえて黙視しているのである。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)