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剔抉
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てっけつ
ふりがな文庫
“
剔抉
(
てっけつ
)” の例文
しかし自己
剔抉
(
てっけつ
)
ということも主観の枠の中でされると、枠のひずんだとおりにひずむしかないという意味深い一つの例だと思います。
一九四六年の文壇:新日本文学会における一般報告
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
たわいなく
剔抉
(
てっけつ
)
できるだろうと思われたのはほんのつかのま——がぜんここにいたって、くみしやすしと見えた事件は、二段三段
右門捕物帖:17 へび使い小町
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
また、危く闇から闇に葬られるところだった——この男と、ダンネベルグ夫人との恋愛関係も、君の透視眼が
剔抉
(
てっけつ
)
したのだ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
自分は処士で、自由にものを云うことができるから、必要のある場合には、その好ましからざる人の名を挙げ、その非行を
剔抉
(
てっけつ
)
するつもりである。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
筆者は茲に支倉の死と共に筆を
擱
(
お
)
くに際し、かくの如き至難比類なき疑獄事件に、終始一貫、不屈不撓の精神を以てよく犯罪を
剔抉
(
てっけつ
)
し得たる庄司署長
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
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『虞美人草』に至っては鮮やかな類型的描写によって、卑屈な利己主義や、征服欲の盛んな我欲や、正義の情熱や、厭世的なあきらめなどの心理を
剔抉
(
てっけつ
)
した。
夏目先生の追憶
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
問題は——かれが心ひそかに待っていた蜂須賀家の
剔抉
(
てっけつ
)
であった。阿波へは、ひそかに弦之丞をやってある。将軍家の意思もほぼある程度までうごかしてある。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(何人にとっても四十歳以前に其の傑作を生むことが恐らくは不可能であろう所の・)人間性
剔抉
(
てっけつ
)
の近代小説道を捨てさせ、その代りに、此の上なく魅力に富んだ怪奇な物語の構成と
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
忠孝の結晶として神に
祀
(
まつ
)
られる
乃木
(
のぎ
)
将軍さえ若い頃には盛んに柳暗花明の
巷
(
ちまた
)
に馬を
繋
(
つな
)
いだ事があるので、若い沼南が流連荒亡した半面の消息を
剔抉
(
てっけつ
)
しても毫も沼南の徳を傷つける事はないだろう。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
今世紀の野蛮性を、その社会的な原因の最も根蔕的な点にふれて
剔抉
(
てっけつ
)
し、その根源をとりのぞいて成長することが切望されているからである。
ベリンスキーの眼力
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
しかし読者諸君は、自分が
剔抉
(
てっけつ
)
し撲滅したこの一団に、なぜいま、左枝が訪れようとするのか疑念を持たれるだろう。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
縊死
(
いし
)
を企つるに及んだ素因が単なる失恋の結果からであるか、それともほかに何かかくされた事件があるか、その二つを
剔抉
(
てっけつ
)
すればいいのでしたから
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
多少の犠牲は忍んでも、いまのうちに鎌倉の手をかりて、宮廷の
癌
(
がん
)
を
剔抉
(
てっけつ
)
してしまうに
如
(
し
)
くはない、と。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
当時の庄司署長が年少気鋭にしてよくかの如き大事件を
剔抉
(
てっけつ
)
し得たが、惜むらくは未だ経験に乏しかったので、彼の自白に基いて有力たる証拠を蒐集する事をしないで
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
その兵部の悪事を涌谷どのが
剔抉
(
てっけつ
)
されたので、原田どのが刃傷に及んだともいわれる、しかし、兵部宗勝と、その家族たちは、所領没収のうえ諸家へ預けられただけだ
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「二二が五さ。あれは、この扉の陰険な性質を
剔抉
(
てっけつ
)
している。また、それと同時に水の跡も証明しているんだ」
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
しかし右門の
剔抉
(
てっけつ
)
したとおり、糸屋の若主人の急死が、のぼせたんでもなく、てんかんでもなく、まぎれなき毒殺であったとわかってみれば、向こう三軒両隣の縁で
右門捕物帖:05 笛の秘密
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「……進藤主計を裁くにはここまでやる必要があるのだ、彼を容赦してはならぬ、有ゆる
行蔵
(
こうぞう
)
を糾明し、為した事の
隅
(
すみ
)
ずみを
剔抉
(
てっけつ
)
して徹底的に断罪しなければならぬのだ」
晩秋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
いや、もっともっと深刻に信長の心理を
剔抉
(
てっけつ
)
し、皮肉な
解剖
(
かいぼう
)
を加えていうかもしれない。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを
剔抉
(
てっけつ
)
し犯罪現象の焦点面へ排列するところに、法水の捜査法は無比なものがあった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
腫物
(
はれもの
)
は根から
剔抉
(
てっけつ
)
しなければ治りゃしないぞ
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“剔抉”の意味
《名詞》
えぐり、ほじくること。悪事や欠点などをあばくこと。
(出典:Wiktionary)
剔
漢検1級
部首:⼑
10画
抉
漢検1級
部首:⼿
7画
“剔”で始まる語句
剔出
剔
剔発
剔紅