前棒さきぼう)” の例文
先をいくお絃の駕籠かごが、つと路傍みちばたに下ろされた。前棒さきぼうの駕籠屋の草鞋わらじがゆるんだから、ちょっとここで締め直して行きたいというのである。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
といったのは前棒さきぼうの駕籠屋。偶然にも、その駕籠をかついで行く権三ごんざ助十すけじゅうは、あのとき机竜之助を乗せた二人であるらしい。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
前棒さきぼう親仁おやじが、「この一山ひとやまの、見さっせえ、残らずとちの木の大木でゃ。皆五抱いつかかえ、七抱ななかかえじゃ。」「森々しんしんとしたもんでがんしょうが。」と後棒あとぼうことばを添える。
栃の実 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
また御霊会の風俗踊りに加わって前棒さきぼうを勤めたのは、田楽法師・鉢叩き・鉦打かねうちにも似通うところがある。
俗法師考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
朴訥ぼくとつな言葉で、前棒さきぼうをかついでいた若いのが、駕籠の中の竜之助に問いかけたものですから、竜之助もむずがゆい心持で
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
さっとほおから血の気が引いた。そして、ほとんど叫ぶように、かん高い声を前棒さきぼうの背へ浴びせた。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
前棒さきぼうの若いのが、おじけがついて、強がりをいってみたくでもなったもののようです。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と聞き流していると、前棒さきぼうの若いのが
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)