あし)” の例文
ぐるりと三人、がなえに夫人を巻いた、金の目と、銀の目と、紅糸べにいとの目の六つを、あしき星のごとくキラキラといさごの上に輝かしたが
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
巫子かんなぎ祝詞のつとをはり、湯の沸上わきあがるにおよびて、吉祥よきさがには釜の鳴るこゑ牛のゆるが如し。あしきは釜に音なし。是を吉備津の御釜祓みかまばらひといふ。
御領主にも関係しているらしい一大事なんて、かれあしかれそうした事件に掛り合っては、まかり間違えば実際首が飛ぶ。
備前天一坊 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
係蹄わなにかけて豚とりに来た犬を捕ったら、其れは黒い犬だったそうで、さしあたり白の冤はれたようなものゝ、要するに白の上にあしき運命の臨んで居ることは、彼の主人の心に暗いかげを作った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)