いかのぼり)” の例文
……が、くるわが寂れて、遠く衣紋坂えもんざかあたりを一つくるまの音の、それも次第に近くはならず、途中の電信の柱があると、母衣ほろいかのぼり
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
発句は「いかのぼり霞のなかにのぼりけり」という句で、きちんとした書体には悪くくずそうとしたり、うまい字体に見せようとしたりすることがなく
我が愛する詩人の伝記 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
馬のみにあらず、わらべどもゝ雪のはじめより外遊そとあそびする事ならざりしに、夏のはじめにいたりてやう/\冬履ふゆげた稿沓わらくつをすてゝ草履ざうりせつたになり、いかのぼりなどにかけはしるはさもこそとうれしさうなれ。
あげられてくるしき日ありいかのぼり 瀬川
俳句の初歩 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
えた村の空も一つぞいかのぼり 去来
凧の話 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
いかのぼりきのふの空の有りどころ
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
馬のみにあらず、わらべどもゝ雪のはじめより外遊そとあそびする事ならざりしに、夏のはじめにいたりてやう/\冬履ふゆげた稿沓わらくつをすてゝ草履ざうりせつたになり、いかのぼりなどにかけはしるはさもこそとうれしさうなれ。
大鷲は今の一撃にいかりをなしたか、以前のごとく形も見えぬまでは遠く去らず、中空にいかのぼりのごとくすわって、やや動き且つ動くのを、きっにらんでは仰いで見たが、と走っては打仰ぎ、走っては打仰ぎ
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いかのぼりきのふの空の有りどころ
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)