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凝脂
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ぎょうし
ふりがな文庫
“
凝脂
(
ぎょうし
)” の例文
後ろ手にほんの形ばかり縛られた女は、
灯影
(
ほかげ
)
に痛々しく身をくねらせて、利助の荒くれた手に、遠慮会釈もなく
凝脂
(
ぎょうし
)
を拭かせております。
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
淫蕩
(
いんとう
)
な女体が、
焚
(
た
)
きこめられた春情香の枕を
外
(
はず
)
して、歓喜の極に、一
喚
(
かん
)
、死息を怪しましめ、一
叫
(
きょう
)
、
凝脂
(
ぎょうし
)
を汗としてうるおす
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その白さがまた、
凝脂
(
ぎょうし
)
のような柔らかみのある、
滑
(
なめらか
)
な色の白さで、山腹のなだらかなくぼみでさえ、丁度雪にさす月の光のような、かすかに青い影を
湛
(
たた
)
えているだけである。
女体
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
振り乱した髪が、美しい顔から首筋へ
海藻
(
みる
)
のごとく絡んで、真珠色の
凝脂
(
ぎょうし
)
が、ヒクヒクと荒縄の下に
蠢
(
うごめ
)
く様は、言いようもない、恐ろしい魅惑でした。
銭形平次捕物控:012 殺され半蔵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
絖
(
ぬめ
)
やかな
凝脂
(
ぎょうし
)
は常にねっとりとその白い
肌目
(
きめ
)
からも毛穴からも男をそそる美味のような
女香
(
にょこう
)
をたえず発散する。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
凝脂
(
ぎょうし
)
、
粉黛
(
ふんたい
)
、——そう言った言葉を私はプシホダの演奏から連想する。それは楊貴妃や
姐妃
(
だっき
)
の美しさだ。粉飾と技巧の限りを尽して、外から美しさを盛り上げる方法だ。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
そろそろ巧雲の
沸
(
たぎ
)
る思いは
姿態
(
しな
)
にもなって、眼もともとろり、肌の
凝脂
(
ぎょうし
)
も
匂
(
にお
)
い立つ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
凝脂
(
ぎょうし
)
豊かなくせに、異常に細そりした身体を包んで、深い歎きに身を揉むごとに、それが蜘蛛の巣に掛った、美しい蝶をさいなむように、キリ/\と全身を絞り上げるのです。
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
片頬をもたらせるように品を作ると、ほのかな
靨
(
えくぼ
)
が、
凝脂
(
ぎょうし
)
の中にトロリと渦をまきます。
十字架観音
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
蝋化
(
ろうか
)
したような蒼白い
凝脂
(
ぎょうし
)
に、痛々しくも残る傷を見て、多勢の人たちを
眼顔
(
めがお
)
で隣の部屋に追いやり、父親の市兵衛といっしょに残っている、妹娘のお吉に、ささやき加減に訊くのです。
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
鑿を
執
(
と
)
る手を休めて眺めると、眼元の涼しさ、鼻筋の素直さ、その頃
流行
(
はや
)
った、少し受け唇のあどけなさ、それにも
優
(
ま
)
して、頬の肉付きの可愛らしさと、首から四肢へかけての、
凝脂
(
ぎょうし
)
の美しさは
奇談クラブ〔戦後版〕:02 左京の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“凝脂”の意味
《名詞》
凝脂(ぎょうし)
凝結した脂肪。凝(こご)った脂。
(比喩的に)白く光沢のある肌。
(出典:Wiktionary)
凝
常用漢字
中学
部首:⼎
16画
脂
常用漢字
中学
部首:⾁
10画
“凝”で始まる語句
凝
凝視
凝然
凝乎
凝結
凝固
凝議
凝集
凝塊
凝滞