兵糧ひやうらう)” の例文
「もう一度行きますよ、親分。明日は姿を變へて平内へいない樣のお堂の前に頑張ぐわんばつて、三日分ばかり兵糧ひやうらうを背負つてつけたらどんなもので——」
其奴そいつ引捕ひつとらへてれようと、海陸軍かいりくぐん志願しぐわんで、クライブでん三角術さんかくじゆつなどをかうじて連中れんぢうが、鐵骨てつこつあふぎ短刀たんたうなどを持參ぢさん夜更よふけまで詰懸つめかける、近所きんじよ仕出屋しだしやから自辨じべん兵糧ひやうらう取寄とりよせる
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
またるよ、とふられさうなさき見越みこして、勘定かんぢやうをすまして、いさぎよ退しりぞいた。が、旅宿りよしゆくかへつて、雙方さうはうかほ見合みあはせて、ためいきをホツといた。——今夜こんや一夜いちや籠城ろうじやうにも、あますところの兵糧ひやうらうでは覺束おぼつかない。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)