兇変きょうへん)” の例文
彼らにとってこころよく思われたかは、主家の兇変きょうへんの前に、すでに浪人していた不破数右衛門ふわかずえもん千葉ちば三郎兵衛、間新六はざましんろくが、同じように連盟に加わってきたのでも分る。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
その朝、城内では勅諭奉答の儀式が行われることになっていたが、兇変きょうへんはそれに先立って起った。
本所松坂町 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
ここに立ってのぞいていなすったのだが、どこへいらしったのだろう? ハテ、無いものをあると見たのかしら? 兇変きょうへんがあると、心が飛んで来て姿にあらわれるという。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
喰違くいちがい岩倉いわくら公襲撃の頃からソロ/\始まって、明治十一年、大久保おおくぼ内務卿の暗殺以来、毎度の兇変きょうへんは皆政治上の意味を含んで居るから、わば学者の方は御留主おるすになって
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
途中の兇変きょうへんを怖れてか、顔に、膏薬こうやくり、ボロ法衣ころもを着て、旅の乞食僧に変装していた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれどそれから六年後、内匠頭の兇変きょうへんがあって、浪士の盟約が密かに結ばれた頃、彼はどこからともなく、のっそりと現われて、大高子葉、潮田うしおだ又之丞の二人を介して、義挙ぎきょに加わった。
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
和議のことは、元々、後月あとげつの末頃から、御当家よりはなしを進めさせたもので、秀吉から云って来たものではなし、その秀吉も、神ならぬ身の、何で京都の兇変きょうへんを、事前に知って計ることができよう
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
官兵衛の兇変きょうへんにつづき、その決死救出組のちかいが結ばれたのを知ると、老いたりといえ、与次右衛門も先代以来の恩顧おんこの臣、ぜひにと、自分も十三人組のなかへ加盟を申し出たが、老人は足手まといと
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)