優劣ゆうれつ)” の例文
技の優劣ゆうれつはとにかくとして春琴の方がより天才肌てんさいはだであり佐助は刻苦精励せいれいする努力家であったことだけは間違いがあるまい。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そのうまのかたわらへこううまならびますと、それはくらべものにならないほど、姿すがたうえ優劣ゆうれつがありました。こうの百しょうは、内心ないしんずかしくてしかたがありませんでした。
駄馬と百姓 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしていろいろの意見が輿論として社会的な圧力を持つに至るのは、意見の内容そのものの優劣ゆうれつよりも、言論・報道・宣伝の諸手段を利用する能力によることが多い。
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)
博物館はくぶつかん優劣ゆうれつをきめることは餘程よほど困難こんなんですが、なんといつてもヨーロッパにおいて有名ゆうめい博物館はくぶつかんは、まづ第一だいゝちにイギリスのロンドンにある大英博物館だいえいはくぶつかんげなければなりません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
優雅な蒲公英たんぽぽ可憐かれんな赤まま草を、罌粟けし撫子なでしこ優劣ゆうれつをつけたろう。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
時には師匠の鶯の方から一定の場所に出張し弟子の鶯共がその周囲に集まりあたかも唱歌の教室のごとき観を呈するもちろん箇々ここの鶯によって素質の優劣ゆうれつ声の美醜びしゅうがあり
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)