俘囚とりこ)” の例文
その広汎なる知識をもってしても遂に想像できなかったほどの超人的女性の俘囚とりことなってしまって、今は黄色い悲鳴をあげるしか術のないいとも惨めな有様とはなった。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
されどわが嘗て受けし教と、げんいだけるけんとは、俘囚とりこたるにあらずして、君等が間に伍すべきやうなし。これを聞きて、我を伴ひ來し男の顏は、忽ちおごそかなる色を見せたり。
黒吉は、既にこの常人ひとの窺ってはならぬ「白日の妖夢」の俘囚とりことなってしまったのであった。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
孫一まごいちも其の一人だつたの……此の人はね、乳も涙もみなぎり落ちる黒女くろめ俘囚とりこ一所いっしょに、島々を目見得めみえに廻つて、其のあいだには、日本、日本で、見世ものの小屋に置かれた事もあつた。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それ故恋愛に破れたばかりに残る半生を失ふ人さへ数多いのは今更申すまでもありませんけれど、さうした人々の破綻は余りにも熾烈な情熱の俘囚とりことなつたばかりからではないでせうか。
〔婦人手紙範例文〕 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
孫一まごいち一人ひとりだつたの……ひとはね、ちゝなみだみなぎちる黒女くろめ俘囚とりこ一所いつしよに、島々しま/″\目見得めみえ𢌞まはつて、あひだには、日本につぽん日本につぽんで、見世みせものの小屋こやかれたこともあつた。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
俘囚とりこというものが、いかに惨めなものであるかということを、二人の盟友は別々に同じ事を感じ合った。向うへつれてゆかれるのは自分だけだと知って、佐々は大隅の方に別れを眼でつたえた。
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
地下道の俘囚とりこ
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)