佳味うま)” の例文
彼等かれらむし自分じぶんうちつくつたものゝはう佳味うまいにもかゝわらず大勢おほぜいともさわぐのが愉快ゆくわいなので、水許みづばかりのやうな甘酒あまざけ幾杯いくはいかたむけるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
りや、そつから佳味うまかねえなんていふもんぢやねえ、しくなるくせに」おつぎはこつそりしかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
以前いぜん卯平うへいであればさういふあぢ普通ふつうかつ佳味うまかんずるはずなのであるが、數年來すうねんらい佳味うま醤油しやうゆ惜氣をしげもなく使用しようしてくちにはおそろしい不味まづさをかんぜずにはられなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
余は南瓜が佳味うまさうだといつたらこんなものが好なのだらうかと不審相に娘がいつた。不味いものが好なら佐渡の婿になつて十日も居るがいゝと博勞は大きな口を開いて笑ひながらいつた。
佐渡が島 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
なぜだといふと土瓶へ二度目の湯をさしたらすぐに草鞋を穿いたからである。山芋は佳味うまかつた。山芋の續きがゐのししへ移つた。清澄には猪が居る。猪は山芋が好きで見つけたら鼻のさきで掘つて仕舞ふ。
炭焼のむすめ (旧字旧仮名) / 長塚節(著)